病院紹介

臨床倫理に関するガイドライン・提言、および当院の指針

基本原則

  • 1. 患者の利益を最優先とする医療を実践する
  • 2. 情報を正しく伝え、十分な説明と同意に基づく自己決定を尊重する
  • 3. 患者の人格や価値観を尊重し、平等に接するよう心がける
  • 4. 関連法規を遵守し、医療倫理の諸指針・提言を尊重する

主な臨床倫理問題への対応指針

① 意識不明・自己判断不能患者への対応について

◆当院の指針
  • ・適切な代理人に説明し、同意を得る。
  • ・適切な代理人がいない場合は、診療を担当する医療者が臨床倫理の基本原則に従い判断する。
  • ・必要に応じて臨床倫理コンサルテーションチームを交えての臨床倫理検討会、臨床倫理委員会を開催し、その方針に従う。
【参考となるガイドライン・提言】
  • 1)人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省 2018年)
  • 2)身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン(厚生労働科学特別研究事業 2019年)
  • 3)認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省 2018年)+リーフレット(あなたの“決める”をみんなでささえる)(老人保健健康増進等事業 2021年)
  • 4)障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドライン(厚生労働省 2017年)

② 検査・治療の拒否への対応について

◆当院の指針
  • ・医師は検査・治療の必要性と利益、実施しない場合の不利益について明確にする。その上で患者に十分な説明を行っても医療行為を拒否した場合は、患者の自己決定を尊重する。
  • ・十分な話し合いを重ねても医療者と患者の意向が対立する場合には、必要に応じて臨床倫理コンサルテーションチームを交えての臨床倫理検討会、臨床倫理委員会を開催する。
  • ・感染症法などに基づき、医療行為の拒否が制限される場合がある。

③ 人生の最終段階における医療・ケアについて

◆当院の指針
  • ・以下のガイドラインに従い、医療行為の妥当性を十分に考慮し、患者の意思を尊重するとともに、患者家族や診療チームを含めて十分な話し合いにより方針を決定することを原則とする。
  • ・必要に応じて緩和ケアチームへのコンサルテーション、臨床倫理コンサルテーションチームを交えての臨床倫理検討会、臨床倫理委員会を開催する。
【参考となるガイドライン・提言】
  • 1)人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省 2018年)
  • 2)終末期医療に関するガイドライン~よりよい終末期を迎えるために~(全日本病院協会 2016年)
  • 3)救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~(日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本循環器学会 2014年)
  • 4)高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン~人工的水分・栄養補給の導入を中心として~(日本老年医学会 2012年)
  • 5)終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン(日本緩和医療学会 2013年)
  • 6)がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き(日本緩和医療学会 2023年)

④ 宗教的輸血拒否

◆当院の指針
  • ・基本的には輸血を含む標準的医療を前提とした診療を行っている。
  • ・平成30年2月9日以降、基本的には救命や生命維持にとって必要であると医師が判断した場合に輸血を行う『相対的無輸血』の方針である。
【参考となるガイドライン・提言】
  • 1)宗教的輸血拒否に関するガイドライン(宗教的輸血拒否に関する合同委員会 2008年)

⑤ DNAR(心肺停止時に蘇生術を行わない)の指示について

◆当院の指針
  • ・以下の指針、勧告を基に、心肺蘇生の有効性、DNAR指示の適切性を患者、家族等に説明し、話し合う。
【参考となるガイドライン・提言】
  • 1)日本版POLST(DNAR指示を含む)作成指針(日本臨床倫理学会 2015年)
  • 2)Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告(日本集中治療医学会 2017年)

⑥ 妊娠中絶

◆当院の指針

母体保護法に従う。

⑦ 透析

◆当院の指針

以下の提言に従う。

【参考となるガイドライン・提言】
  • 1)透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言(日本透析医学会 透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言作成委員会 2020年)

⑧ 身体拘束

◆当院の指針

身体抑制は、患者の自由を制限することであり、尊厳ある生活を阻むもの。
患者の尊厳と主体性を尊重し、抑制を安易に正当化することなく、職員一人ひとりが抑制による身体的・精神的弊害を理解し、抑制廃止に向けた意識を持ち、緊急・やむを得ない場合を除き、身体抑制をしない診療・看護の提供に努める。

【参考となるガイドライン・提言】
  • 1)身体拘束予防ガイドライン(日本看護倫理学会 2015年)
  • 2)身体拘束ゼロへの手引き~高齢者ケアに関わるすべての人に~(厚生労働省 2001年)