泌尿器内視鏡レーザー治療センターセンター長 ご挨拶
この度、2025年10月、当院の手術室改装に伴いまして泌尿器治療を活性化すべくセンター化することとなりました。泌尿器内視鏡レーザー治療センターと命名致しました。
当院は1988年の開院以来、ESWL(体外衝撃波結石破砕装置)をいち早く導入した施設の一つであり、結石治療において茨城県南領域の中核を担ってまいりました。同時に泌尿器領域における良性疾患の前立腺肥大症の治療としてTUR-P(経尿道的前立腺切除術)を主に施行してまいりました。2005年頃よりTUR-Pからレーザーを用いたHoLEP(経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術)に切り替えておりますが、この結石治療と前立腺肥大に対する手術は現在ともにレーザーを用いた手術となっており、この二つの手術を主に当センターで施行して参る所存です。
当センターは筑波大学泌尿器科と連携し、強固な協力体制の下に、患者さんの安全と治療の有効性を追求してまいります。現在は120Wホルミウムレーザーでの治療がメインとなっておりますが、今後の医療機器の発展に伴い、適宜優れたレーザー機器、内視鏡機器などをいち早く導入していく予定です。
泌尿器科 上席部長
大森 洋平(おおもり ようへい)
専門分野・資格等
- 日本泌尿器科学会専門医・指導医
泌尿器内視鏡レーザー治療センターの体制
センター長
おおもり ようへい大森 洋平
役職
泌尿器科上席部長
専門分野・資格等
日本泌尿器科学会専門医・指導医
センター顧問
にしやま ひろゆき西山 博之
役職
筑波大学附属病院 泌尿器科 教授
専門分野・資格等
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本がん治療認定医
日本泌尿器科学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
daVinci支援手術教育プログラム終了
当センターの特徴、対象疾患
結石治療
当院泌尿器科では泌尿器全般を診ておりますけれども、特に患者さんが多く集まり、力を入れているのが尿路結石治療です。そこで、当センターは結石症例が最も多く、約7割を占めております。
結石治療は経過観察での自排待ち、薬での自排の促進もあるものの、多くのケースにおいて、基本的に手術治療が必要となります。具体的な術式としてはTUL(経尿道的腎尿管結石レーザー破砕術)がメインとなります。また大きな結石症例、および難治症例に対してはPNL(経皮的腎結石レーザー破砕術)を施行しております。数十年前まで主体であったESWL(体外衝撃波結石破砕装置)は治療効果が乏しく、レーザーの進化によって現在はあまり行っておりません。各論として術式を後述いたします。
前立腺肥大症に対する手術治療
当センターで結石治療とともに施行していくのが前立腺肥大症に対するレーザー治療です。前立腺肥大は、男性の年齢とともに前立腺が肥大し、80歳以上の方の8割ほどが肥大していると言われている通り、非常に多くの患者さんが困っている疾患といえます。
レーザー治療としてホルミウムレーザーを用いたHoLEP(経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術)を主に施行しております。前立腺肥大の治療としては様々なレーザーを用いた治療や低侵襲手術が乱立しておりますが、この核出術はどのような患者さんにも適応でき、世界的に認められた優れた治療です。特にホルミウムレーザーを用いた核出術であるHoLEPは中でも最も信頼された治療法であり、多くの患者さんに施行して差し上げたいと思っております。泌尿器手術において、最も患者さんが術後の結果を喜んでくださるのはこのHoLEPと日々感じている次第です。各論で術式の詳細を述べていきます。
術式(現在施行している術式)各論
結石治療
TUL(海外ではURS; Ureterorenoscopic Laser Lithotripsy)
腎・尿管結石に対して内視鏡とレーザーを用いて砕石しstone freeを目指す手術です。当院では、結石治療の8割以上がこの術式であり、全世界的にも主流となっております。
当院は最も細径の硬性鏡(4.5Fr)やディスポーザブル軟性鏡、FANS(吸引付き)アクセスシースなど、最先端の機器を取り揃えて治療にあたっております。今後、より細かく破砕することが可能なレーザー機器も導入する予定となっております。
PNL(Percutaneous Nephrolithotomy)
尿路用いずに背中から直接針をさしてルートを作成し、そこから内視鏡を挿入して砕石を行う手術です。当院では欧米並みに積極的には用いておりませんが、 前述のTUL困難症例などで主に施行しております。
前立腺肥大症に対する手術治療
HoLEP (Holmium Laser Enucleation of the Prostate)
HoLEP(経尿道的前立腺レーザー核出術)は前立腺肥大から生じる排尿障害に対する手術治療です。大きくなった前立腺内部の腺腫を核出する手術であり、どのようなサイズ、形態でも手術可能な、いわば万能型の手術といえます。
前立腺肥大症の他の手術治療は、TUR-Pをはじめ他のレーザーを用いた手術、MISTと言われる低侵襲手術など様々な術式が存在しております。ただし、根治性(完全に治してしまう)を考慮すると核出術が必要であり、効率・効果・安全性のバランスのとれた優れた治療法はHoLEPとなります。
診療実績